13日、名古屋市内のホテルで、前日に開催した「3150×LUSHBOMU vol.2」のメインイベント、IBF世界ライトフライ級タイトルマッチで王者相手に3度のダウンを奪う完勝で世界王者に返り咲いた矢吹正道(LUSH緑)が一夜明け会見に臨んだ。
前夜の9ラウンドの激闘が嘘のような傷ひとつない顔で会見場に現れた矢吹は、「(世界王者に返り咲いた)実感はないけどホッとしています。勝因は左ジャブ。自分はジャブが得意なので、中間距離なら絶対に負けないと、自信持って戦った」と前夜の勝因を語った。
会見に同席したタキザワボクシングジム会長で矢吹正道の専属トレーナーを務める滝澤卓トレーナーも「勝因はジャブに尽きる。仕上がりも最高だったし、1ラウンドでジャブが素晴らしかったので、これはいけると思った。相手は距離が遠く感じてやりづらかったと思う。(KO勝ちの結果は)本人が練習した成果です」と矢吹の練習の努力を称えた。
前日の試合後の会見で明かされた「ライトフライ級での試合はやらない」宣言に関して矢吹は、この日の会見でも「ひとつ言えることはライトフライ級ではやらないということですね」と改めて明言した。
アキレス腱断裂の大ケガからの手術を経ての再起に関しては「弟がいなかったらボクシングは辞めていました。弟の夢が『兄弟同時世界王者』なので、弟の夢を優先しましたね」と再起から王者返り咲きの裏には、前夜の試合でもセコンドで兄に的確なアドバイスを送っていた弟・力石政法(大橋)の存在があったことを語った。
今回の試合に向けては「すごく練習してきました。寿命が縮まりました」と笑いながら話し、「今はボクシングやり切ったという感じがすごくあり、次のことを考えられない状態。今はボクシングがやりたいと思うまでゆっくりしたい」と言いながらも「水曜日(16日)にはジムに行きますけどね」とボクシング好きな世界王者らしい一面を見せ、将来のビジョンについても、愛知県内に自らのジム開設を希望していることを明かした。
フライ級に階級を上げて二階級制覇に挑むか、引退かの二択という自身の今後については、昨日に続いて(現WBO世界フライ級王者)アンソニー・オラスクアガ(米国)への挑戦を熱望した。「打ち合うスタイルのオラスクアガ選手は日本でも人気があるし、自分とは(戦い方が)かみ合うと思う。階級(差)もあるし、今は4-6で向こう有利だと思います。自分が負けると言われている方が燃えるタイプなので。勝てる相手との試合はモチベーションが下がるし、今後、試合をやるとしても残り数戦なので、モチベーションを高く保てる試合をやっていきたい」と語った。
2階級制覇へ進むのか、別の道を選ぶのか、矢吹の決断に注目が集まる。