12日、愛知県国際展示場で開催した「3150×LUSHBOMU vol.2」のメインイベントで行われたIBF世界ライトフライ級タイトルマッチは、挑戦者で同級2位・矢吹正道(LUSH緑)が3度のダウンを奪う9回TKOの圧倒的勝利で世界王者に返り咲いた。
試合は王者シベナティ・ノンシンガ(南アフリカ)と、お互いが警戒し合う展開で進んだ。矢吹のパンチが僅かに多くヒットする展開になった8ラウンド、終了間際に連打で王者からダウンを奪った矢吹は、続く9ラウンドもチャンスの逃さず、魂の連打で2度のダウンを奪って、1分50秒、レフェリーが試合をストップした。
矢吹は、試合後のインタビューで、「今回は難しい試合になると思っていた。負けたら引退を決めていたので結果を出せてよかった」と語り、試合後のリング上では恭子夫人、長女の夢月さん、長男の克羽くんと共に最高の家族記念ショットに収まった。その瞬間の感想を聞かれると「家族写真はじーんときましたね」と語り、世界王者に返り咲いたこと改めて実感していた。
2022年3月にWBC王座の初防衛戦で寺地拳四朗(BMB)とのダイレクトリマッチに敗れてベルトを失うと、昨年1月にIBF同級挑戦者決定戦を制して勢いがついたと思ったのも束の間、同年5月にスパーリング中に左アキレス腱断裂の重傷を負った。この時のピンチから再び世界王者を目指すことができたのは、家族や弟でWBC世界スーパーフェザー級シルバー王者、力石政法(大橋)からの励ましがあったから。インタビューでは自らのモチベーションを上げるためにも、1階級上げて、WBO世界フライ級王者アンソニー・オラスクアガ(米国)との試合を望んだ。
不屈の魂から導かれた連打で世界王者へと返り咲いた矢吹。今後、王者がどのような道を進むのかに注目だ。